2018.01.14 Sunday 23:54

外来での小話。

ネクタイ。

 

先日、久し振りにクリーニング帰りのパリッとしたネクタイをつけて見たくなった。その日、外来でただ一人、僕のそのネクタイを褒めてくれた女性がいた。

1年前から難病があるが、薬でコントロール出来ていた患者さんだ。2週間前、その女性から、「子どもたちがどうしても専門医に診てもらえっていうから、先生ごめんなさいね」と、専門病院へのセカンドオピニオンを希望され、来院された。もちろん、医師として、自分の出来る範囲で治療を行い、患者・家族が希望されれば、他院への紹介状を、早急に情報提供書として記載することにしている。
 

ほんの1週間前に、彼女が受診した病院の担当医から手紙が届いていた。1週間の間に、計9回のさまざまな精密検査を行い、検査の結果、今後の治療は当院ではなく、他院で治療をさせるとの報告だった。治療そのものは、当院でも継続可能と思ったが、本人・家族が希望されるのであれば、それは仕方ないのかもと思っていた。

 

そんな気分のまま、迎えた月曜日、朝7時の救急患者の対応から始まり、午前の外来は長引き、午後1時を過ぎようとしていたころ、1冊のカルテに目が止まった。他院での治療をすすめられていた、あの彼女のカルテだ。順番が来て、診察室に呼び込み、少しおそるおそる尋ねてみた。

 

「この前の病院で診てくれた先生がね、あそこの別の病院で診るようにって、何回も書かれた手紙を受け取ったけど、ええんかね? お子さんたちも大丈夫なん?」
「あたしは、ここの病院がええんやから、ええんです。それより、まあ、先生、今日のネクタイ素敵! ビシッと決まってて。」
「このネクタイ、褒めてくれたんは、○○さんがはじめてよ。○○さんに、褒めてもらえたから、もうこのネクタイは、もうはずしてもええよね。」

お互い、笑いながら、いつもの診療が終わった。

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